約 832,871 件
https://w.atwiki.jp/smoksan/pages/237.html
すれ違い対戦(果し状) イナスマイレブン2〜脅威の侵略者〜で追加された機能。 DSの無線通信機能を利用し、通信用のチームを簡単な紹介文付きで他人に送りつけることができる。 果たし状を選択し、試合することもできるが、経験値やねっけつポイントは手に入らない。 すれ違ったプレイヤーから果し状を貰ったり、あげたりする機能だが小学生など低年齢層以外ではプレイヤーはすれ違い通信の機会がほとんどない。(都市部でもほとんどない) 「オレブンができたのに自慢する相手がいない」「もっと超次元なチームと戦いたい」 と嘆く声は絶えない。 公式の大会などでは何百通という果たし状が会場を飛び交うが、こうなるとネックになるのが保存件数の少なさである。 最大でも10通しか手元に置けない上に、一度は保存しなければチーム構成が見られない。 その他様々なユーザーインターフェイスの問題があるが、もちろん一番の問題はすれ違えないことである。 Wi-Fiで果し状を送受信できるようにすれば良かったのにとスレではよく嘆かれる...。 一応、約100万本売れたゲームなのだが...。 【関連】 公式 http //www.inazuma.jp/inazuma/index.html ゲーム 脅威の侵略者
https://w.atwiki.jp/peace-sky/pages/20.html
振り返れば もう遠い
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/6735.html
autolink() DC/W23-039 カード名:不器用なすれ違い 叶 カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:500 ソウル:1 特徴:《特徴なし》? 【永】応援 このカードの前のあなたのキャラすべてに、パワーを+500。 【起】[手札を1枚控え室に置き、このカードをレストする]あなたは自分の控え室のレベル0以下のカード名に「工藤」を含むキャラを1枚選び、舞台の好きな枠に置く。 レアリティ:C illust. 効果の対象となるカードは「学生服の工藤」と「工藤 叶」の二種(2013年1月現在)。 いずれも高いパワーと引き換えに厳しい登場条件を持っているが、このカードさえ引くことができればどちらも第1ターンに場に出すことが可能となった。 採用するのであればゲーム開始時の手札交換で何としても手札に加えたいところ。
https://w.atwiki.jp/kawaguchiharuki/pages/16.html
3DSフレンドコード交換広場
https://w.atwiki.jp/ce00582/pages/5376.html
/* * To change this template, choose Tools | Templates * and open the template in the editor. */ package jx1; import javax.media.j3d.*; import javax.vecmath.*; import com.sun.j3d.utils.universe.*; import com.sun.j3d.utils.geometry.*; import java.awt.*; import java.awt.event.*; import java.util.*; class pro extends Frame implements Runnable{ SimpleUniverse universe; BranchGroup group1; TransformGroup transform_group1; Transform3D transform1; public static void main(String [] args) { Frame f=new pro(); f.setTitle("game0218"); f.setSize(700,700); f.setBackground(Color.yellow); f.setVisible(true); } pro(){ Panel cp = new Panel(); cp.setLayout(null); this.add(cp); GraphicsConfiguration g_config = SimpleUniverse.getPreferredConfiguration(); Canvas3D canvas = new Canvas3D(g_config); canvas.setBounds(0,0,700,700); cp.add(canvas); universe = new SimpleUniverse(canvas); group1 = new BranchGroup(); ColorCube cube = new ColorCube(0.4f); transform_group1 = new TransformGroup(); transform_group1.setCapability(TransformGroup.ALLOW_TRANSFORM_WRITE); transform_group1.addChild(cube); transform1 = new Transform3D(); group1.addChild(transform_group1); universe.addBranchGraph(group1); ViewingPlatform vp = universe.getViewingPlatform(); TransformGroup Camera = vp.getViewPlatformTransform(); Transform3D view_pos = new Transform3D(); Vector3f pos_vec = new Vector3f(1.4f,1.4f,1.4f); view_pos.setTranslation(pos_vec); Transform3D view_dir = new Transform3D(); Transform3D view_dir2 = new Transform3D(); view_dir.rotY(Math.PI/4); view_dir2.rotX(-Math.PI/4 + 0.1f); view_dir.mul(view_dir2); view_pos.mul(view_dir); Camera.setTransform(view_pos); this.setVisible(true); Thread th=new Thread(this); th.start(); addWindowListener(new stopwin()); } class stopwin extends WindowAdapter{ public void windowClosing(WindowEvent we){System.exit(0);} } public void run(){ int t; float x; t=0; while(t 100){ x=t*0.01f; transform1.set(new Vector3d(x, 2*x, x)); transform_group1.setTransform(transform1); try{ Thread.sleep(100); }catch(InterruptedException e){} t=t+1; } } }
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/1102.html
500 名前:すれ違いな温泉旅行!?1投稿日:2008/06/08(日) 10 14 26 ID ??? 温泉旅行当日… バーニィ「えーと…あと2分だな…ちょうどいいかな?」 クリス「あ!あれかしら……あれ?バーニィ…」 バーニィ「やあクリス、迎えに来たよ」 クリス「…え、ええ(やだ…勘違いしてた)」 バーニィ「…?じゃあ行こうか(なんか元気がないなぁ…)」 そのころ兄弟家では… ロラン「あれ?シーブック…どこか行くの?」 シーブック「ああ…ちょっと今日は帰ってこないかもしれない」 ロラン「そう…じゃあ気をつけてね」 シロー「久々のデートが温泉旅行か」 アイナ「ええ、行きましょう」 ノリス(運転手)「では行きましょうか」 ガロード「温泉か…恥ずかしいねティファ」 ティファ「そうね…」 501 名前:すれ違いな温泉旅行!?2投稿日:2008/06/08(日) 10 14 59 ID ??? 温泉旅館にて… クリス「さーて、まずは温泉に入りましょうか」 バーニィ「そうだね…じゃあ部屋に行くよ」 クリス「あら?部屋に温泉があるのよ」 バーニィ「……!?(想像しちゃだめだ)」 クリス「………(アムロさんならどうしたのかしらね?) バーニィ「い、行こうか…(また元気がなくなってる…自信なくすな…)」クリス「ええ」 シロー「ふーん、ギニアスさんはノリスさんが邪魔をしてるのか」 アイナ「はい、だから平和に来れました」 シロー「さて、温泉に入りに行こうかな」 アイナ「部屋の温泉ですね(効能は部屋のですからね)」 シロー「あ、ああ(なんだ?アイナからオーラが…)」 ガロード「しかしよくお金があったよな」 ティファ「ジャミルさんがくれたから…」 ガロード「ふーん…優しいな…羨ましい」 ティファ「じゃあ温泉に行きましょう」 シーブック「セシリー、日帰りは無理だね」 セシリー「狙っていたんじゃないの?」 シーブック「まさかぁ…(狙ってるよ)」 セシリー「とりあえず行きましょうか(読めてるわよ…)」 502 名前:すれ違いな温泉旅行!?3投稿日:2008/06/08(日) 10 16 54 ID ??? クリス&バーニィ組 クリス「気持ちいいわよ。バーニィも来たら?」 バーニィ「いいってば!?」 クリス「クスクス(きっと赤くなってるわね)」 バーニィ「ったく…(行きたいけど…行けない…)」 クリス「で、上がったんだから入れば?」 バーニィ「う、うん(うわぁ…綺麗だなぁ…)」 今のバーニィの目には艶やかなクリスしか見えてない… バーニィ「ふぅ…気持ちいいなぁ…」 クリス「でしょ?」 バーニィ「そうだね…って、クリス!?」 クリス「背中でも流そうと思ってね」 バーニィ「あ、はい…お願いします…」 クリス「素直でよろしい」 バーニィ「………(よかった元気になったみたいだ)」 クリス「………(私と旅行に来たのが嫌だったのかしら…元気がない…) シロー&アイナ組… シロー「アイナ…気持ちいいな」 アイナ「ええ、気持ちいいです」 仲良く2人で温泉に浸かっていた… ガロード&ティファ組… ガロード「ティファ…逆上せちゃうよ」 ティファ「大丈夫…そろそろ上がるから」 シーブック&セシリー組… シーブック「セシリー…いつまで入ってるんだい?」 セシリー「いいのよ、逆上せないから」 シーブック「そう…(やっぱり一瞬には無理か) 503 名前:すれ違いな温泉旅行!?4投稿日:2008/06/08(日) 10 17 43 ID ??? 旬のとれたてな食事を食べ終えた2人は 旅館につきものな卓球を始めていた。 クリス「ふふ、ただやるだけじゃつまらないわね」 バーニィ「え…じゃあどうするの?」 クリス「負けた方は勝った方の言うことを一回聞くことでどう?」 バーニィ「いいよ(勝ってクリスに何が不満か聞こう!)」 クリス「いくわよ(勝ってバーニィに元気がない理由を聞こう!)」 勘違いの産物により、白熱したゲーム展開が繰り広げられた。 いつしかギャラリーが増え始め、歓声が上がる。 しかし、ようやく決着がついた…勝利したのは… クリス「私の勝ちのようね」 バーニィ「うん…負けたよ」 クリス「じゃあ部屋に行きましょうか?」 バーニィ「え!?う、うん…」 2人は部屋へと帰っていった… 余談だがその後三組も卓球をしたらしい… ×シロー×アイナ○ ×ガロード×ティファ ×シーブック×セシリー○ 野郎全員は勝ちを譲ったとか譲らないとか… 504 名前:すれ違いな温泉旅行!?5投稿日:2008/06/08(日) 10 18 25 ID ??? クリス「じゃあバーニィ、罰ゲームよ」 バーニィ「ああ…わかってるさ」 クリス「じゃあ、何で元気がないか教えて」 バーニィ「…え!?それは…自信がないからさ」 クリス「何の自信よ?」 バーニィ「…言えない(クリスを喜ばせるなんて…)」 クリス「そう…ちょっと出かけてくるわね」 バーニィ「行ってらっしゃい」 クリス(バーニィ…そんなに私と来るのが嫌だったのかしら?) バーニィ(大浴場ですべてを忘れよう…) この旅館の大浴場は時間帯で男女が入れ替わる。 理由は部屋に温泉が付いているので入る人がいない… だから一つの大浴場でも問題ないのである… 505 名前:すれ違いな温泉旅行!?6投稿日:2008/06/08(日) 10 31 55 ID ??? バーニィ(さて…今の時間は男だな…入るか) バーニィはそそくさと服を脱ぎ、手ぬぐい一枚を持ち 静かに大浴場へと入っていった… バーニィ「ふぅ…気持ちいいなぁ…貸し切り同然だし…」 確かに周りを見渡しても誰もいない。 と言うか湯煙がヒドすぎるだけな気もするが… バーニィ「クリスも入りに来ればよか……!?」 湯煙が一瞬晴れたことにより、視界が広がる… バーニィの視界にはクリスが……入っていた。 バーニィ「な、な、な!?」 クリス「な!?」 バーニィ(手ぬぐいは!?落とした!?探さなきゃ!) クリス「バーニィ、ちょっと!?」 バーニィ「ごめん!?手ぬぐい探したらすぐ上がるから」 クリス「…いいわよ慌てなくて…ゆっくり探して」 バーニィ「…わかった…ありがとう」 クリス「それより、私と話さない?」 バーニィ「え…ああ、うん」 ちなみにこの旅館のオーナーの息子は大のいたずら好きで 看板も息子のいたずらで入れ替えられていたそうだ。 506 名前:すれ違いな温泉旅行!?7投稿日:2008/06/08(日) 10 33 16 ID ??? クリスはバーニィといろいろなことを話していた… バーニィとの出会い(あれも勘違いから始まってるね) 初めてのデートの思い出と初めてのキス…etc クリス「本当にいろいろあったわね」 バーニィ「ああ…今から思うと恥ずかしい…」 クリス「今日の旅行…最初はアムロさんと行くと勘違いしてたんだ」 バーニィ「だから元気がないように感じたのか…」 クリス「でもさ…バーニィと来れてよかったと思うんだ」 バーニィ「俺もクリスが楽しくないかと勘違いしてたんだ」 クリス「だから元気がなかったのね」 バーニィ「でも違ったみたいでよかった」 クリス「ねぇ…バーニィ、あなたになら…」バチャ! バーニィ「…クリス!?」 クリスは逆上せたららしく、気を失ったようだ… バーニィ「………(どうやって部屋に運ぼう…)」 その後いろいろなことを経て、クリスは布団の上で寝ていた… バーニィ「まだ、俺らには早かったのかな?」 バーニィは1人で呟いていた… 507 名前:すれ違いな温泉旅行!?8投稿日:2008/06/08(日) 10 33 44 ID ??? 翌朝… クリス「昨日は迷惑だったかしら?」 バーニィ「恥ずかしくて大変だったよ」 クリス「あの後取り乱して悪かったわね」 バーニィ「いや…当たり前の反応でしょ」 クリス「そうね…さ、帰りましょうか」 バーニィ「うん」 2人は少しだけ仲良くなって旅行が終わったようだ… 終わり? シロー&アイナはかなり関係が進んだようだ… ガロード&ティファはまだまだ初々しい様子。 シーブック&セシリーは10年はかかるねw 終わり
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/958.html
58話 奇妙なすれ違い 俺は放送を聞いた後、身を潜めていた民家の車庫に停めてあった、 ホワイトカラーの430型グロリアの中に乗り込み、キーの配線を細工していた。 どこを探しても、この車の物と思われるキーが見付からない。 昔パクッた自動車泥棒の奴からこっそり教えて貰った方法を頭の中で思い出しながら、 作業を進めていく。 そして遂にエンジンがかかった。 「よし」 荷物を助手席に置き、運転席に乗り込み、俺はハンドルを握ってギアを操作し、 アクセルを踏み込んだ。 放送によれば、14人が最初の6時間で死んだらしい。 あの学生風のガキと、銀髪の女はどうなったんだろうな、名前を聞くの忘れたから、 生きてるのか死んだのかも分かんねぇや。 禁止エリアはどれも遠く離れた場所だし、気にする事もないだろう。 そして今、グロリアを運転している俺はエリアG-8の病院へと向かっている。 人が集まり易そうな場所は他にもあるが、医療道具求めてやってくる奴もいるかもしれないしな。 まだ一人も仕留められてねぇ。最初の6時間で14人も死んだんだ。 獲物がいなくなるってのは勘弁願いたいね。 車を調達したのは移動面で便利になるから、だが、目立ち易いのが難点だろうな。 機関銃か何かで狙い撃ちにならないようにしねぇと。 よく勘違いしてる奴がいるが、自動車の装甲ってのは弾避けになんてなりゃしねぇ。 威力が弱い.22LRでも貫通する。だから映画やドラマでよく銃撃戦の時に自動車の陰に隠れる シーンがあるがあれは間違いだ。実際、俺の同僚で同じ事して大怪我した奴がいる。 エンジンブロックなら防げるかもしれないがお勧めはできない。 まあ、その気になりゃ、車で轢き殺すのもアリか。 市街地の通りを、中央線も無視して走行する俺の運転するグロリア。 対向車も歩行者もいねぇ。オールフリーだな。 路肩に停められた車がちと邪魔だけどよ。 ◆◆◆ 私は病院からそう離れていない所の民家の中に隠れていた。 二階のベッドが二つ並んだ寝室と思しき部屋で、第一回目の定時放送を聞いた。 死者として呼ばれた14人の名前の中で知っている名前はケトル、鈴木正一郎の二人。 後は知らない名前ばかりだった。 ケトル……確か、アニオタの猫族の男子、だったかしら。 ほとんど接点もないし、どうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。 鈴木正一郎……これは知っている。私が殺したから。 こいつもねえ、ほとんど何も、関わりがなかったけど……。 禁止エリアはF-3、D-2、E-8の三つで、順に午前7時、8時、9時から禁止エリアとなる。 入ったら、この首にはめられた首輪が作動する、らしいけど、 それって入ったらすぐに爆発するって事? それともタイムラグがあるのかしら。 どっちにしろ、禁止エリアが出現したら近寄らない方が賢明ね。 さて、私の事を強姦してくれた、あの黒い狼……名前、聞くの忘れたけど、 黒い毛皮を持った雄の狼。あいつは、生きてるのかしら。 もしかしたら、さっきの放送で名前を呼ばれたかもしれないけど、 もし、今度会った時は……絶対に、殺す。それも、ただ単に殺すだけじゃ駄目だ。 先刻殺した、名も知らないオレンジ髪の女を殺して奪い取った拳銃サイズのサブマシンガン。 これで、あいつの大切な部分をぐちゃぐちゃにしてやろう。 「……」 ふと、私はスカートを捲り、太腿の内側と局部の辺りを手で触ってみる。 黒狼に流し込まれ、何度も念入りに拭き取った白い液。 僅かに残って太腿を伝ったものが、乾いて嫌な線を描いていた。 今まで気にしないようにしていたけど、もう、限界……。 「……シャワー、浴びようかな」 余り大きな音を出すのはまずいけど、それよりも私は、身体を洗いたかった。 獣に汚された身体を、外面だけでも良いから清めたかった。 私は自分の荷物を持って、一階の風呂場へと向かった。 シャワーから流れる、程良い温度に調節したお湯を浴び、 私は身体、特に局部付近の汚れを洗い落とす。 温かいお湯が全身を流れ、とても心地良い。 これで今度こそ、あの黒狼が私に無理矢理流し込んだものも、完全に洗い落とせたはず。 でも……もう少し、浴びよう。念のために。 ◆◆◆ 銀鏖院水晶がシャワーを浴びている時に、 彼女がいる民家の前の道路を、一台の白い車が通過した。 狼獣人の警官、須牙襲禅が病院に向け運転する430型グロリアである。 水晶はシャワーを浴びていたため、また通りとは反対方向に風呂場が位置していたため、 車の通過には気付く事はなかった。 また、襲禅の方も、窓を閉め切っていた上すぐに水晶のいる家の前を通り過ぎたため、 シャワーの音にも気付く事はなく、水晶にも気付く事はなかった。 【一日目朝方/G-8病院周辺】 【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】 [状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)、車を運転中、G-8病院へ移動中 [装備]:FNブローニングハイパワー(13/13) [持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4) [思考]: 0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。 1:G-8病院へ行く。 2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。 3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。 4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。 ※俺オリロワ開始前からの参戦です。 ※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。 両名とも既に死亡していますがその事を知りません。 ※銀鏖院水晶には気付いていません。 【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]:健康、全裸、入浴中 [装備]:S W M19(6/6) [持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(21)、イングラムM10(0/30)、 イングラムM10のリロードマガジン(30×8)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、 水と食糧(二人分) [思考]: 0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。 1:身体を洗ってから行動を開始する。 2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。 3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。 ※本編開始前からの参戦です。 ※須牙襲禅には気付いていません。 壊される汚される、そして失う 時系列順 あの日の思い出を薄めては 壊される汚される、そして失う 投下順 あの日の思い出を薄めては 食える時に食うべし 須牙襲禅 須牙巡査の病院探索 その思いは正義をも砕く 銀鏖院水晶 焼け付く想いは憂い募らせる
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/768.html
卒業式。彼女は、思い切り泣いた。 泣きはらして、泣きはらして、笑顔になって。 別れを惜しみながら、それでも強く笑って。 そして、中野梓は、高校三年生になった。 「…やっぱり、似合ってないなぁ」 携帯を眺めながら、改めて梓は苦笑した。 先日執り行われた、先輩たちの入学式の画像が添付されていた。慣れないスーツ姿で、4人は思い思いに写っている。 澪は、緊張のあまり固すぎる顔。紬はさらりと着こなしている。律は……窮屈そうだ。 そしてもう一人は、致命的に似合ってない。ミスマッチにも程がある。 これが卒業アルバムの予行練習のような済ました顔だったら、まだ格好もついただろうに、いつもどおりの奔放な表情で写っていて、それがおかしくてたまらない。 「ぷっ、くく…」 抑えた笑いが、がらんとした部室に響く。 と、きぃ、という音がして、音楽室のドアが開かれた。 「…あの、中野先輩、どうかしたんですか?」 「ううん、なんでもないよ。入って入って」 はぁ、と怪訝そうな声を漏らしつつ、彼女は後ろ手にドアを閉めた。今年から軽音部に入部した、正真正銘の後輩である。まだ整っている皺の少ないブレザーが初々しい。胸元にアクセントとして彩られたリボンの色は、青色だ。梓にとってそれは先輩の色だけれど、むしろ彼女たちからすれば、赤こそが先輩の色なんだろう。そんなところで、時がめぐったことを実感してしまう。 「すいません、HRが長引いちゃって」 「大丈夫。それじゃ、練習はじめよっか」 幸いにも、新歓ライブでの梓の演奏は新入生の心を捉え、4人の新入部員を迎えることで今年も軽音部は継続されている。放課後ティータイムではないけれど、学園祭でもまた演奏することになるだろう。順風満帆と言ってもよかった。今ではジャズ研を引っ張るメンバーである純に、「あー残念、あたしが入れば百人力だったろうに」だなんて茶化されたけど。 その後輩の一人は、梓と同じギターの担当だ。どこかの先輩とは違って、入学前から音楽に触れていたようで、教えるにしてもやりやすい。フェルマータやフォルテッシモといって、そうですね、と素直に相槌が返ってくるのはなかなか新鮮だった。 まぁ、流石に腕前はまだまだだけれど。きっと上手になるだろう。 しばらく練習をして、少しの間長椅子に座って休憩をする。言葉少なだ。 そりゃ、センパイたちとのようにとは言わないまでも、もう少し賑やかでもいいんじゃないかなとは思うのだけれど、2年の年齢差は高校生にとってそこそこ大きい。互いになかなかきっかけがつかめないで休憩時間が終わってしまうのが常だ。それが梓の目下の悩みである。 けれど、今日は珍しく彼女のほうから話しかけてきた。 「あ、あの」 「……どうしたの?」 嬉しそうに返す梓に安心したのか、彼女は微笑んで言った。 「中野先輩って、ギター教えるの上手ですよね」 「そうかな。だったらいいんだけど」 「こう、すーって入ってくるんです。音と指とが離れてなくて」 「ありがと。…昔ね、」 手のかかる先輩がいたんだよ。先輩なのに、私に教えてって頼んできて、 ――そう言おうとして、やめた。 いきなり黙りこくってしまった梓を彼女は不思議そうに伺っている。私もそこでよく躓いたから、と梓はごまかした。結局その後会話はあまり弾まなかったけれど、いつもより少しだけ和やかな雰囲気になった休憩の後、再びギターをかき鳴らして、その日の部活は終わった。 校門で、彼女に向かって手を振る。いずれの後輩とも梓は別方面だ。部活の後、たいてい彼女は一人で帰路につく。 先輩らしく振舞えているだろうか。もしやめるなんて言われたらどうしよう。不安は常に付きまとっている。特に、今日は来ていない3人の後輩たち。塾や都合などで、毎日部室に来るというわけにはいかないようなので、尚更がんばらないと。 後輩と別れた帰り道、梓はいつもそう考える。 だけど今回ばかりは、少し余計なことまで浮かんでしまった。 意外なことに、卒業してから一番メールを送ってきたのは律だった。澪や紬との写真を 添えて、律らしい冗談と絵文字が踊る明るい文面に隠された後輩への気配りを、梓は十分 に感じ取っていた。次いで澪、紬である。どれもこれも、自分への思いやりがこもってい て、それだけで梓は胸が一杯になる。 部室に寄っていいか、なんて提案も度々あったけれど、せっかくの練習を邪魔しないで ください、なんて断ってしまった。律や澪や紬だって、新たな環境で忙しいはずだ。ただ でさえこれだけ気にかけてもらっているのだから、これ以上煩わせてしまっては申し訳な い。……あの人はまじめすぎると笑うだろうか。梓は苦笑する。 ……あの人。 あの人からの、最初は頻繁だったメールが稀になったのはいつからだろう。唐突にかか ってきた電話が来なくなったのはいつからだろう。寂しいと思う心とは別に、どこかで納 得している梓がいた。 新しい場で、これまでの親友と、これからの親友と、精一杯楽しむことに忙しいのだろ う。きっと、4人のうちで、一番。彼女はそういう人だから、と、すとんと飲み込めた。意 外なことに。 それは、梓が3年生になってから、理解したものだった。梓にとって、学校とは軽音部で あり、放課後ティータイムのことだった。そのことでいっぱいいっぱいだった。 けれど、それだけではない。受験もある。毎日は、放課後だけではないのだ。時間が、 生活が迫ってくる。それを身をもって実感したから、梓はあの人のことを責めようとは思 わなかった。むしろ感謝すら覚えた。こんな日々の中で、去年の先輩達は、あの人、あれ だけ時間を割いてくれたのだと。 別に、二度と会えないわけじゃない。憂に訊けば、喜んで近況を話してくれるだろう。 だけど、いやだからこそ、梓はあえてその話をしないことに決めた。 もう、いっぱいもらったのだ。抱きしめてもらって、名前を呼んでもらって。卒業式で は、泣きじゃくった自分を受け止めてもらって。 もう十分だ、と。そう思えてしまうことも含めて、満足していたから。 だから、今日の後輩からの話題は、不意打ちだった。 ○ 翌日。運悪く、後輩は全員来れないとのことだった。こういう日もある、どうしようか と悩み始めたときには、すでに梓の足は鍵を借りに向かっていた。一度習慣になってしま うとなかなか抜けないものだ。たとえ一人であっても。 きぃ。ドアを開けるときの音がいつもより遠くまで音が響いた気がした。閉めるときの 音も。がらんとした部室。ホワイトボードでは、…まだ隅っこのほうに残っている独創的 なセンスの落書きが消えかかっていた。本当にあのセンスはわからない。書きなおそうに も再現しようがない。 一息ついて、長椅子に座る。いざ来てみたはいいものの、やはり一人だけとなると何を する気も起きない。黒板に引かれた五線譜を眺めながら、ただ座っている。 ――広い。この部屋は、こんなに広かっただろうか。 かつて感じたその感覚を、しばらくぶりに梓は味わっていた。このごろは後輩がいたお かげで心の底に沈んでいたそれは、やっぱり痛切で、今すぐにでも誰かにすがりたくなる ものだった。 頭を振る。自分で決めたことだ。頼ってばかりもいられない、もう最上級生で部長なの だから。頼られる立場なのだから。繰り返し繰り返し唱えてきたその言葉を、寂寥感を押 し流すように梓は繰り返す。ブレザーの袖を握り締めながら。ごくり、と飲み込んで、梓 はようやく顔を上げた。 トンちゃんの水槽の掃除でもしようか。ようやく意識に上ってきたことに梓は申し訳な くなった。「でも」ってなんだ、でもって。ごめんね、と小声でつぶやきながら、慣れた 手つきでバケツに水を注ぐ。洗面台。鏡。隅に貼ってある剥がれかけのハートのシール。 反射的に目を逸らした。遅かった。 『中野先輩って、ギター教えるの上手ですよね』 『あずにゃん、ギター教えて!』 ……ほら。 『かわいいでしょー、最近はまってるんだー』 『いっぱい食べて大きくおなり』 ……ほら。 『あずにゃんは難しいことを考えるんだねー』 『だって、あずにゃんはあずにゃんだもん』 ……ほら。 『私はいっつもあずにゃんのことばっかり考えてるよ』 ……うそつき。 いつの間にかバケツから水が溢れていた。慌てて蛇口を閉める。水浸しだ。拭かないといけない。 ○ どうしてここまで弱いんだろう。 どうしてここまで脆いんだろう。 部長なのに。三年生なのに。もう、後輩じゃないのに。 最近、「梓」と同じくらい、「中野先輩」と呼ばれるのに。 もう、「あずにゃん」なんて、呼ばれないのに。 ○ 家に帰ると、梓は自室に逃げ込んだ。 制服のまま天井を眺める。 どうして、と問いかけても、答えは一向に出てこない。どうすればいいのかわからない。 自分の中で、整理をつけたつもりだった。割り切って、しっかりと固めていたはずだった のに。些細なきっかけで決壊してしまった、この気持ちはなんなのだろう。 一通り泣きはらして、表面上は落ち着いてはいる。しかし疲れ果てていた。 手元にある携帯電話を操作する。受信メール。先輩達の、似合わないスーツ姿。もう笑え ない。呆けながら、ただその画像を見つめている。 ……わがままな子、なんだろうな。 なにも、無視されたわけじゃない。忘れられたわけじゃない。ただ、近頃連絡が減ってき ただけ、なのに。それだけで勝手に遠く感じて、自分で納得したふうを装って。挙句の果て に、ちょっとしたきっかけですぐ決壊してしまった。 ……そんなの、卒業式のときと、何も変わらないじゃない。 あの時の絶望とは、違うのだ。まるで広い世界に自分ひとりだけが取り残されてしまうよ うな、切羽詰った状態ではない。繋がっている。だから、余計にわからない。 無機質な画面に映る、不恰好なあの人の姿を見て、こんなにも弱ってしまう。文字じゃな くて、画像じゃなくて、声を聞いて、抱きしめて欲しくて。 ……会いたくて。 会いたい。心の中で言葉にして、それは明確なものとなった。会いたい。会いたい。あの 人に会いたい。名前を呼んで欲しい。梓でもなくて、中野先輩でもなくて、あずにゃんと呼 んで欲しい。あの人がつけてくれた名前で、あの人の声で、……唯センパイの声で。 唯セ ンパイ。 受信ボックスを遡る。まだログに残っているかどうか不安だったけれど、過去になるにつ れ、名前欄は「唯センパイ」で埋まっていった。あの人らしい、どこからもってくるのかわ からないのにしっかり刺さってくることば。並ぶ「あずにゃん」の文字。 ……思えば、いつも、センパイとは、こうだった。 合宿のときも。学祭のときも。修学旅行のおみやげも。園芸大会のときも。夏祭りのとき も。シールのときも。最後のライブのときも。卒業式のときも。 こうやって、自分で考え込んで、袋小路に陥って、取り乱して。そんな時、いつも手を引 いてくれたのは、あの人だった。 手のひらの感触を思い出す。少し自分より大きくて、暖かくて、こっちのことなんかお構 いなしの、あの手。引いてもらってばっかり。 ……思い出すにつれ段々癪になってきた。どうしてこうも毎回毎回振り回されてばかりなの か。茫漠とした悲しみの水面に、会いたいという石が投げ込まれて、波紋を形作っていく。 置き捨てたスクールバッグに目をやる。まだしっかり繋がっている、「ぶ」のキーホルダー。 裏に張ってある、「なかのあずにゃん」のシール。 今回ばかりは。 梓は体を起こす。ふう、と一息。先ほどとは違った、意思の篭った一息。 もう三年生になったのだから、いつまでも手を引かれているわけにも、いかない。 だけどそれは、手をつないではいけないということではなくて。 手を引っ張っていってもいいんじゃないかと。 携帯電話のボタンを3回押した。 「……」 『あ、もしもし?あずにゃん?』 「――っ、私以外の、誰だと思ったんですか」 『あー、あずにゃんだぁ!』 「……そうです。あずにゃんです。唯センパイ、最近どうしてメールも電話もしてくれないんで すか。私、寂しくて、」 『わたしもさみしかったよ!』 「じゃ、じゃあ、どうして、」 『あずにゃんがメールも電話もくれないんだもん』 「……それは唯センパイが、」 『だって、あずにゃんもう三年生だから、部長だから』 「……っ」 『迷惑になっちゃいけないかなって、それでね、我慢してみたら、』 「……」 『全然メールも電話も来ないんだもん……』 「そ、その……」 『だから!すっごくさみしかったよ、あずにゃん!』 「わ、私もすっごく寂しかったんですよっ、なのになんですか、そんな理由、」 『あずにゃんずーるーいー、お互い様だよーこれはー』 「うっ……それは」 『ごめんなさい』 「……ごめんなさい、です」 『じゃあ、いまからあずにゃんの家に行っていい?』 「……いいですよ」 『わーい!待ってて、すぐ行くから!』 「はいっ」 ○ 結局事が終わってみれば、互い違いのすれ違いで。 やっぱり、唯センパイは唯センパイだった。 ○ 「中野先輩、ギター教えるのやっぱり上手ですよ。秘訣とかあるんですか?」 「えへへ。昔ね、先輩のクセに私よりギターが…あ、電話」 『もしもしー、あずにゃん?』 「今、部活真っ最中なんですけど」 『えー、だって電話しないとあずにゃん怒るじゃーん』 「だからあれは唯センパイが、……っ」 なるほどね、という視線を感じて恥ずかしいけれど。 「……あと五分だけですよ」 このくらいは、いいじゃない? こういうのいいな、素晴らしい -- (名無しさん) 2010-08-31 05 47 33 唯先輩が変わってなくて本当によかったー -- (名無しさん) 2010-08-31 23 44 29 「互い違いのすれ違い」っていうタイトルにセンスを感じた。いい。 -- (名無しさん) 2010-09-03 21 37 33 いいね -- (名無しさん) 2015-02-06 21 33 46 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/student_rowa/pages/104.html
入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI. 千葉紀梨乃と坊屋春道の二人は、氷川村を目指して歩いていた。 「トイレって言ってたんで、またお腹痛くなったのかと思っちゃいましたよ~」 「ああ、腹はもう大丈夫だ。キリノちゃんのくれた薬のおかげだな」 口の端を「んっ」と持ち上げ、猫の口のような形にさせながらそう言う紀梨乃に対し、 春道は腹をポンポンと叩いて答え、「はっはっはっ」と笑う。 正午に行われた放送の内容は二人に大きな動揺を与えたが、 春道がトイレだと言って紀梨乃と離れていた間に二人とも持ち直したようで、 今では、そんな風に他愛の無いやり取りが出来るようになっていた。 「…………」 それでも、ふと会話が途切れると紀梨乃の頭には剣道部の仲間達のことが浮かんできて、 言いようの無い不安が心を支配する。 (サヤ、タマちゃん、ミヤミヤ、ダンくん) 今回のプログラム、室江高校からは明らかに剣道部のメンバーが選ばれている。 そして、今回室江高から選ばれた全員の入部届けを書いた、又は書かせたのは紀梨乃だった。 (……サヤ、あたし、どうすればいいのかな?) 中でも、サヤこと桑原鞘子と紀梨乃は小学校以来の親友だ。 紀梨乃は心の中で親友に語りかけ、彼女ならどう返すか想像してみた。 (当たって砕けろだって、やるっきゃないよ!キリノ) そんな抽象的な、勢い任せの一言が返ってくる気がした。 「お、村が見えてきたぜ」 春道が、いつの間にかうつむいて黙り込んでしまった紀梨乃の気を紛らわせようと、 努めて明るい口調で、村が近い事を告げた。 「あそこにキリノちゃんの友達がいるといーな」 「ん~、そうですねぇ。早くみんなに会いたいっす」 笑顔を作って春道に答える紀梨乃だったが、心の中では先ほどの続き。 鞘子に言われた(気がする)言葉への返答を考えていた。 (そうだよね、やるっきゃないよね!) 一つ決心をして、紀梨乃は顔を上げた。その目に迷いは無い。 紀梨乃は「すぅぅ」と大きく息を吸い込み、剣道のかけ声の要領で大声を出した。 「サヤー! タマちゃーん!」 「おお!?」 突然の大声に驚く春道をよそに、紀梨乃は声を出し続ける。 「ミヤミヤー! ダンくーん! 聞こえたら返事してー!」 ■ ■ ■ 川田章吾の眠りは、本当につかの間のものとなった。 周防美琴が出て行ってからそれほどしない内に、女の声によって起こされたのだ。 「うっ……何だ?」 頭の痛みを堪えて、川田は耳を澄ます。 「ミヤミヤー! ダンくーん! 聞こえたら返事してー!」 聞こえてきた声は、周防美琴のものではない。 そしてその声は、段々大きくなってきている。 どうやら、川田のいる診療所に近付いて来るようだ。 (くっ、どうする?) 川田は、つかの間の睡眠によってほんの少しだけ戻って来た冷静な部分をフルに使って考えた。 (今はプログラムの最中、こいつは間違いない) 記憶が混乱していて前後がハッキリとは思い出せないが、 ここがプログラムの会場、殺し合いの舞台であることには違いない。 (近づいて来ているのは、女か。誰かを探しているみたいだが……) 近づいて来ているのは女の声だ。 声の様子から誰かを探しているようだが、殺し合いに乗っているかどうかは不明。 (くっ、頭が……こんな状態では……もし女が殺し合いに乗っていたら) 頭の痛みが強まった気がした。 今の自分はおそらく脳震盪を起こしている。本来なら、数日は安静が必要な状態だろう。 もし、声の主が殺し合いに乗っていた場合、今の自分では大した抵抗も出来ずに殺されてしまう。 (せ、接触は……避けるべき、か) 川田は、痛む頭で何とかそう判断するとデイバッグ他、荷物をまとめて裏口から診療所を出た。 「ぐっ……」 しかし、川田は診療所を出たところですぐに尻餅をついてしまい、裏口のドア付近の壁に寄り掛かって動けなくなってしまった。 安全を期すならもっと離れなければと思うのだが、もう体が言う事を聞かない。 やはり、安静にしていなければ駄目のようだ。 「みんなー、いないのー?」 そうしている内に、声の女が診療所に入って来た。 川田は何とかやり過ごそうと、壁に寄り掛かった状態で息をひそめる。 「あれ~?誰もいないの?」 女の足音が診療所内を移動する。 それに続いてもう一つ、別の足音が診療所内に入って来た。 「誰もいねーのか?」 「う~ん、こんな風に地図に載ってる場所だし、誰かいると思ったんですけどねぇ」 どうやら、男女の二人組だったようだ。 その後しばらく、二つの足音が探し人を求めて診療所内を動いていたが、 やがて、誰もいない事が分かったのだろう。足音が出入り口の方へ移動し始めた。 「やっぱ、ここには誰もいねーみてーだな」 「ですねぇ」 (そうだ、このままどっかに行っちまえ) しかし、そのまま立ち去るかに思えた足音の一つが、川田の思いに反して診療所を出る前に止まった。 「あ~、でも一応、裏の方も確認しときますね」 「そーか」 (な、なに?) 例の男女がそんなやり取りをしたかと思うと、足音(多分、女の方だ)がどんどん川田のいる裏口へ迫って来た。 (くっ、くそ……) 運を天に任せるのは川田の趣味ではないが、こうなってしまうと川田には足音の主が殺し合いに乗っていない事を祈る他なかった。 女がドアノブに手をかけたのだろう、裏口のドアがカチャリと音を立てた。 「おーい、紀梨乃ちゃん」 その瞬間、川田とは反対側、診療所の出入り口付近から男の声がした。 「ん? はーい、なんですか~」 開きかけた裏口のドアが戻され、パタパタと足音が遠ざかっていく。 そして、バタンと出入り口のドアが閉まる音がしたのを最後に診療所内から人の気配が消えた。 (……行ったか) 川田は大きくため息をついた。 ■ ■ ■ 「なんすか~?」 「なーキリノちゃん。あれ、使えそうじゃねーか?」 紀梨乃が診療所から出てくると、春道がやや興奮気味に診療所の向かいにある民家を指していたが、しかし紀梨乃にはそれが普通の民家にしか見えなかった。 「ん~?」 「向こうから来た時は気がつかなかったぜ」 どう反応していいか分からない様子の紀梨乃をだったが、春道はそんな事を言って民家へ駆けて行った。 「ちょっ…………ああ」 春道はその民家の前へ駆け寄ると、家の前に停まっていた原付スクーターをいじり始めた。 どうやら、春道が指差していたのはこちらだったようだ。 (そっか、乗り物があれば……でも、やっぱりカギが無いと動かないよねぇ。 あ、春道くんが家のドアの方に……そっか、家の中ならバイクのカギあるかな? でもドアの鍵が閉まってるみたいだねぇ。って、ドアを蹴破った!?) 春道のそんな行動を見た紀梨乃が唖然としていると、春道はすぐに民家の中から出てきた。 どうやら原付のキーは、玄関を入ってすぐの所にあったようだ。 そして春道が原付に差し込んだキーを捻ると、ブロロロと原付のエンジンが回り始めた 「おし! キリノちゃん、これに乗っていこーぜ!」 「え~、でも……」 原付に跨り、紀梨乃にも後ろに乗るように勧める春道だったが、紀梨乃は躊躇していた。 人の原付、ノーヘル、二人乗りなどに関しては、灯台で色々と物色した物を持ってきている時点で今更だが……。 「荷物も多いし、二人乗りは危なくないですか?」 もう少し荷物が少なければ問題ないだろうが、紀梨乃の言う通り、今は荷物が多く二人乗りは危険そうだ。 「ムムッ、そーか」 紀梨乃との二人乗りを断られた春道は少し残念そうだったが、 すぐに顔を上げてキョロキョロと辺りを見渡すと、エンジンのかかった原付をそのままに、 他の家の方へ走り出した。 「あ、また……ん~、まさか」 その家の横にも原付が止まっているのが見えた時点で、春道が何を考えているのか察しのついた紀梨乃はその場で待つ事にした。 案の定、しばらく待っていると春道が原付をもう一台調達して紀梨乃の所へ戻って来た。 「紀梨乃ちゃんの分、持って来たぜ」 「は、はぁ」 意気揚々と戻って来た春道の気持ちはありがたい紀梨乃だったが、一つ問題がある。 「でも、あたしスクーターとか乗ったことないですよ~」 無免許などはこの際置いておくとして、紀梨乃は今まで原付を運転したことが無かった。 「大丈夫だって、チャリと全然変わらねーからよ。チャリには乗れるだろ?」 「まあ、いつも通学で乗ってますけど」 「ならへーきだって。ちょっと乗ってみよーぜ」 「ん~分かりました、乗ってみるっす!」 軽いノリで勧めて来る春道に、紀梨乃の方が折れた。 それに、紀梨乃の方もまんざら興味が無いわけではない。 「ブレーキはチャリと同じな。で、右のグリップが……」 簡単に原付の乗り方を春道から教えてもらい、いよいよ紀梨乃は原付に跨った。 「それじゃ、行きますよ~……っとと、お、おおぉぉぉ」 紀梨乃が原付のスロットルを捻るとエンジン音が高まり、紀梨乃を乗せた原付が走りだした。 走り出すときだけ少しふらついた紀梨乃だったが、スピードが上がってくるとバランスを取り戻し、そのまま50メートルほど走った後Uターンして春道の所へ戻って来た。 「ウマイウマイ。な、簡単だろー」 「あはは、これなら何とか乗れそうですね」 少し走っただけだが、紀梨乃は春道に笑顔でそう答えた。 「それじゃ、紀梨乃ちゃんの友達探しに行こーか。まずは村ん中探してみるんだろ?」 「そうですね~。あ、でも南側はもうすぐ禁止エリアになるんで、探すなら北側ですね」 「よし」 そうして、二人は原付に乗って村の中を探索するのだった。 (二人乗りは駄目だったが、女の子とツーリングってのも悪くねーな。ムフフ) などと春道が考えていたかどうかは、神のみぞ知る。 十数分後。 「結局、誰も見つかりませんでしたねぇ」 村の北側を一通り回った紀梨乃と春道だったが、収穫はゼロ。 紀梨乃の室江高メンバーはもちろん、春道の鈴蘭高校の生徒も、他の学校の参加者とも、 誰とも出会わなかった。 「この村には誰もいねーのかもな」 「むぅ、仕方ないですね。それじゃあ、次の村に行ってみましょうか」 そう言って紀梨乃が地図を広げ、春道もその地図を覗き込んだ。 「次っつーと、この平瀬村か」 「はい。あ、でもここ、H-3が禁止エリアになるんですね。時間はまだありますけど」 今、紀梨乃達がいる氷川村と平瀬村とを最短距離でつなぐ道は、これから約二時間後に禁止エリアになる。 時間的には余裕があるが、もしもその場で何かあって動けなくなったらと考えると、その道を通るのは危険かもしれない。 「……ちょっと怖いし、まずこっちの鷹野神社に行って、それから回り込みませんか?」 「フム、紀梨乃ちゃんがそう言うなら、オレは構わねーぞ」 こうして二人は、鷹野神社を目指して原付を走らせるのだった。 【I-5 道/1日目 午後】 【千葉紀梨乃 @BAMBOO BLADE】 [状態]: 健康 [装備]: 短刀 、原付スクーター [道具]:デイバッグ、支給品一式、チャッカマンなどの雑貨数点、常備薬 [思考] 基本:殺し合いはしない。 1:室江高校のみんなを探す 2:そのために島を一周する。次は鷹野神社経由で平瀬村へ 3:春道は、信用できそうだと思っている [備考] ※春道から、加東秀吉以外の鈴蘭高校出身者の特徴を聞きました。 【坊屋春道@クローズ】 [状態]:健康 [装備]: ワルサーPPK、改造ライター(燃料:90%)、原付スクーター [道具]:デイバッグ、支給品一式、救急箱、缶詰、私物のタバコ、ワルサーPPKのマガジン [思考] 基本:キリノと仲を深める 1:キリノを守る 2:電話番号をもらう 3:できれば、その先も…… [備考] ※紀梨乃から、室江高校出身者の特徴を聞きました。 ■ ■ ■ 原付に乗って走り去る二人を、物陰から見ている男がいた。 彼の名は花澤三郎。 鈴蘭高校一年生で、春道の後輩だ。 「坊屋さん……」 花澤は春道が他の学校の生徒と行動を共にしているのを見て、やっぱりなと思った。 そんな気はしていた。 春道の性格なら、こんな殺し合いに乗ったりはしないだろうと、分かっていた。 だから、出来れば殺し合いに乗っている自分を見られたくなかった。 そして花澤は、春道に話しかける事も出来ず物陰に隠れてしまったのだ。 (また、殺せなかった……) せっかく伊藤真司を禁止エリアに置き去りにして覚悟を決めた花澤だったが、 あこがれの先輩である春道の連れを殺すことは出来なかった。 (……坊屋さん、オレはあなたとは別の道を行きます) 春道達が見えなくなると、花澤は春道が走り去った道をあえて反対側へ歩き出した。 (次こそは、次こそは殺す!) 心の中で自らを叱咤し、花澤は歩き続けた。 【H-7 焼場付近/1日目 午後】 【花澤三郎@クローズ】 [状態]:喧嘩のダメージ(中度) 疲労 [装備]:ショットガン(SPAS12) アーミーナイフ [道具]: デイパック・支給品一式、単車のキー、ランダムアイテム1(武器ではない) 結束バンドの束 [思考] 基本:仲間を生かして帰す 1:次こそは殺す、殺せる、ころせる……! 2:最低の男になってでも、仲間と生き残る 3:坊屋さん…… ■ ■ ■ 「くぅ、取れない!」 氷川村、J-6エリア。 木の根元で、周防美琴は伊藤真司の指に巻き付いた拘束を何とか解こうと悪戦苦闘していた。 この場所が禁止エリアになるまで残り数分。 しかし、伊藤をこの場に拘束している結束バンドは一向に外れない。 焦りばかりが募っていく、そんな時だった。 「なあ周防、何か聞こえないか?」 「何かって?……あ!」 バイクのエンジン音のような音が聞こえた気がして、伊藤が発した言葉に美琴が顔を上げ、そして気がついた。 確かにエンジン音は美琴も聞こえたが、今はそれどころではない。 美琴が気付いたのは、すぐ近くに民家が一軒建っているということだった。 「ちょっと待ってろ!すぐ戻る!!」 「あ、ああ」 そう言い残し、その民家へダッシュする美琴。 そして民家にたどり着くと、すぐさま中を物色した。 「何か、何か無いか!?……あった!」 そして美琴はごく普通のハサミを見つけると、すぐにそれを持って伊藤のもとに戻った。 ハサミを入れると、素手ではあれだけ苦労しても外れなかった悪魔の拘束がパチンと音を立ててあっけなく外れた。 「よし、伊藤、走れ!」 「え?」 伊藤の拘束を解いた美琴は、伊藤に肩を貸して立ち上がらせると、 戸惑う伊藤に、今まであえて言わずにいた事実を告げた。 「いいから走れ!ここはもうすぐ禁止エリアになるんだよ!」 「なに!?」 そうして二人は全力で走った。 「はぁ、はぁ、はぁ……」 「ハァ、ハァ、ハァ……」 花澤三郎と殴り合った伊藤はもちろん、美琴も水を持って走ったりして疲れていたが、 二人とも、悲鳴を上げる体に鞭打って走った。 途中、美琴が一度見た口の開いたデイバッグが落ちていたが、 その場所がJ-6の外である保証は無かったため、それには構わず走った。 やがて、氷川村のもっとも南側にある道にたどり着くと、二人はそこに倒れ込んだ。 「はぁ、はぁ……、よし……ここまで来れば、大丈夫だ」 地図にあるエリアの境界には、実際に線が引いてあるわけではないので、 どこからが禁止エリアになるのか参加者には分からない。 しかし、美琴の記憶では道路にさえ出れば、そこはJ-6エリアではなかったはずだ。 「ハァ、ハァ、周防……俺を助けるために、危険を……」 禁止エリアの中に拘束されていた自分を、周防は命がけで助けてくれた。 伊藤はその事に感動し、尊敬の念を込めた視線を美琴に送っていた。 「そ、そんな、改まって言われると……照れるじゃねーか! ま、まあ気にすんな!!」 美琴は、照れ隠しに伊藤の背中をバンバンと叩いた。 「イテテテ」 それが花澤にやられた傷に触り、顔をしかめた伊藤を見て美琴は診療所へ伊藤を連れていくことにした。 残してきた川田の事も気がかりだ。 「悪い、大丈夫か?この先に診療所があるから、とにかくそこへ」 「ああ、分かった」 美琴は立ちあがると、再び伊藤に肩を貸して診療所へ向け歩き出した。 あのエンジン音はもう聞こえなくなっていた。 「ところで、さ。一体、誰にやられたんだ?」 少し歩いたところで、美琴がそれまで聞き辛かった話を切り出した。 美琴も遠目には犯人を見ている。伊藤を引きずっていたあの男。 伊藤とあの男は戦い、そして伊藤が敗れたのであろう事は、美琴にも想像がつく。 そのことで、伊藤のプライドは少なからず傷ついたはず。 しかし、今後の事も考えると聞かないわけにはいかない。 そして、聞くなら早い方がいい。 「……花澤とか言ったな」 「…そいつ、殺し合いに乗ってるんだよな」 「……だろうな。やり合ってた時には、そんな風に思えなかったんだが」 負けた喧嘩の事を女に話すのは気が引けた伊藤だが、美琴は命の恩人だし、 相手が殺し合いに乗っているとなれば、知っている情報は話しておくべきだろう。 そう考えた伊藤は、自分が分かる限りの事を美琴に話した。 「でも、なんで禁止エリアに置いて行くなんで方法を……」 「分からねーけど、大方、直接手を汚すのを嫌ったんじゃねーか?」 「くっそ……と、あそこだ、診療所」 花澤についての話が一通り終わったところで、二人は診療所にたどり着いた。 「あれ?川田?」 中に入ると、川田章吾の寝ていたはずのベッドが空だった。 「川田って?」 「ああ、話してなかったな。川田ってヤツをここに寝かせておいたんだ。 そいつ、怪我しててさ。動ける状態じゃなかったはずなんだけど……」 そう言って、美琴達が診療所の中を見渡していると、裏手の方から声がした。 「こ、こっちだ……」 「……川田?」 美琴が診療所の裏口を開けると、外に川田がデイバッグを抱えて座り込んでいた 「川田、どうして?」 「……他の、誰かが、来て……隠れた」 「そうか、分かった。とにかくベッドへ行こうな。これからはアタシが見張ってるから」 「ぐっ」 美琴は川田に肩を貸して元のベッドへ連れて行くと、まだ調子の悪そうな川田を寝かせた。 ベッドに横になると川田は目を閉じ、間もなく寝息をたて始めた。 やはり、まだ起きていられる状態ではなかったようだ。 「そいつが川田か」 「ああ、頭を強く打ってるみたいなんだ」 「そうか、可哀相に」 まさか、自分の投げたバットが命中したとは露ほどにも思わない伊藤がそんな事を言う。 「さてと、伊藤の方も手当てしないとな。ここなら包帯とかもあるし」 そんな伊藤に対し、診療所内にある薬などを確かめながら美琴が言った。 「それじゃあ伊藤、服脱いでくれ」 「え?」 【I-7 診療所/1日目 午後】 【川田章吾@バトル・ロワイアル】 【状態】後頭部に強い打撲 発熱 眠っている 【装備】金属バット 【道具】デイパック、支給品一式 タバコ コンドーム一箱 鍋のふた 【思考】 基本:自分の記憶の破綻に気づき、混乱している 1:頭が痛い痛い痛い 2:おれはだれなんだ 3:けいこ 補足: 川田は放送のため、自分の記憶の破綻に気づきました。そのため、自分が何者なのか、 ここがどこなのか、わからなくなっていますが、少なくともプログラムに参加している事は理解しています。 今は若干落ち着いて眠っていますが、次に目覚めたときに元の川田に戻れるかどうかは わかりません。 【周防美琴@スクールランブル】 【装備】: 【所持品】 支給品一式、ロープ 【状態】:拳に軽症、疲労 【思考・行動】 基本:仲間を探す。襲ってくるものに容赦はしないが殺しはしない 1:伊藤の手当てをする 2:川田の様子が気になる 3:同じ学校の仲間を全員探したい 【伊藤真司@今日から俺は!】 【装備】: 【所持品】 【状態】:全身打撲(右腕の打撲は特に重傷)、拳に軽傷 【思考・行動】 基本:全員助ける。手段等は人を探しつつ考える。 1:脱ぐの……? 2:人は絶対に殺さない 3:マーダーに会っても根性で説得 56:深く静かに 投下順で読む 58:盗聴!発射!回復! 54:それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 時系列順で読む 58:盗聴!発射!回復! ▲
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/50.html
結果から言おう。 姉上は強い。 だがこのゲーム上で動く参加者達はその大半が力を制限されている。 その一例が武器と能力の没収だ。 没収されたそれらはランダムに支給されて、後は持ち前の知恵や腕っ節で何とかしていくしかない。 しかし姉上は――――蒼龍一号機エヴァは自分の武器を自分で引き当てた。 それは詰まり、このゲームにおける最大のハンデを完全に無視できる事に繋がる。 「あ……ぐっ」 自分が床に叩きつけられ、剣の切っ先を突きつけられている理由はまだある。 自分の知っている『彼女』はのらりくらりとしていて、その場をノリだけで生きているかのような適当な人だった。 少なくとも当時はそういう立場じゃなかった筈なのに何時の間にかツッコミ担当になっていたのだからきっとそうなのだろう。 しかし目の前にいるこの人は、 (強いし、冷たい……!) 鍛錬を怠ったつもりは無い。 騎士として守る物を見失わない為に。 そして暴走しがちな自分を押さえ込むという意味でも鍛錬には取り組んできた。 心も、身体も鍛え上げてきたつもりだった。 しかしそれでも覆らないのは、 (圧倒的な、力の差……!) その事実を確認したと同時、レイチェルは歯を噛み締めた。 死への恐怖から逃げるためじゃない。 何も出来ずに負ける自分への腹立たしさと、姉の『暴』に呆気なく屈してしまう事への怒り。 それを向けただけだ。 ○ 「レイチェル」 妹に呼びかける。 しかし当の本人はボロボロで、まともに立ち上がれそうにはなかった。 だが死んではいない。 「そのままでいいから聞きなさい。――――何故武器を使わないのです?」 「!!!!!!!!!!!!」 その言葉を聞いたその瞬間。 レイチェルの身体がびくり、と震えた。 まるで何かに怯えるようにして顔色が青くなる。 「そ、それは……まともな武器を引き当てれなかったからで――――」 「嘘ですね。それでも何かしらの抵抗をする事は出来るはずです」 センライによる説明は当然エヴァとレイチェルの姉妹も聞いていた。 各個人が持っている能力は何かしらの道具に付加される。 故に武器を引き当てることが出来なくても『使える』能力を手に入れることが出来るのを知っている。 「ですが、何故素手で立ち向かったのです?」 「それは……使い方を知らないからで」 それも嘘。 本当は『触れた』瞬間に使い方には気付いている。 だけどもしソレを使ってしまったら。 (それだけは、絶対に駄目だ!) 心の中で首をぶんぶんと横に振る。 しかも今の姉上に『アレ』の存在を知られたら、 (きっともっと酷いことになる! それだけは――――!) 騎士として最も許されるべきではない行為。 それは『やっちゃいけない事をやること』なのだと思う。 暴走する自分が言えたことではないが、姉上は明らかにそれを無視しようとしていた。 もしそんな奴が『アレ』を使ってしまえば、 (皆、死んじゃうよ……) 参加名簿に目を通す余裕は無かった。 しかしエヴァがこの場にいると言う事はエリシャ達他の姉妹や、アステリアのような知人も巻き込まれている可能性は十分に考えられた。 例えエヴァがどう扱うつもりでも、それをコントロールするのは自分だ。 少しでも『中てられたら』直ぐに暴走してしまう自分が、よりにもよって『アレ』を引き当ててしまった。 見境の無い殺戮が始まろうとしている。 それ故に、判断は迫られる。 その殺戮を本能の赴くままに行うか。 この場で姉上を倒すか。 (もし、私がここで負けたら……!) その場合の事は安易に想像できる。 否、既にその想像は現実の一歩手前にまで迫ってきている。 何故ならエヴァがこちらに装備を聞いてきているから。 支給品は必ず参加者に一つは渡される。 それ故に誤魔化すことはできない。 「何を黙ってるんですか、レイチェル?」 だが其処まで考えた直後。 自分の足に強烈な熱と痛みが走った。 「あ、――――?」 「まだ私のお仕置きは終わってないんですよ?」 痛みの発生源は見たら直ぐに判る。 エヴァが剣を振るい、自分の足を刻んだから。 リメイカーを殺した時のように深く切り裂かれた訳ではないが、それでも血が出るのは剣を突き刺された以上は必然な訳で。 自分の血は流れ出てくるって事はつまり、今まで以上に『衝撃』が襲い掛かってくる訳で。 「い、嫌だ……止めろよ姉上! 止めろよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「どうしてです?」 平然とした顔で問われる。 本当にわからない、と言った顔で、だ。 「私のお仕置きはまだ終わってないと言った筈ですよ? 聞き分けの無い悪い妹はちゃんと教育しないと」 良くも悪くもエヴァは純粋に『姉』だった。 だからこそこの状況でレイチェルをどうすれば追い詰めることが出来るのかを熟知している。 肉体的にではなく、精神的にだが。 (駄目だ! 駄目だよ姉上! それ以上やられたら、やられちゃったら本当に中てられる!) 姉上を、コロシチャウヨ―――― その瞬間。 レイチェルの中で何かが弾けた。 「……い」 「?」 俯いた状態のまま、レイチェルが呟く。 だが上手く聞き取れない。 しかしエヴァのそんな疑問視に無理矢理答えるかのようにして、レイチェルは吼えた。 「こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい! たいてえええええええええええええええええええええええい!!」 「なっ――――!?」 咆哮が轟いた後に聞こえてきたのは信じられない単語だった。 大帝。 参加者に支給されるにしては余りにも大きすぎる『巨大ロボ』の名前を、天に向かって呼んだのである。 「は、ははははははは!!」 自分の血に中てられたレイチェルが狂ったように笑い出す。 そしてその笑い声に受け答えするかのようにして、『ソイツ』は何も無かった筈の外に突然現れた。 ○ 「たい、てい――――!」 最初の脱落者、リレッドがゲームを無茶苦茶にしようとして呼び出そうとした巨大兵器。 彼女は頭が良い事はエヴァも知っている。 それ故に、彼女が呼び出そうとしたこのロボも(直接戦ったことが無いが)相当な破壊力を持っているであろうことは簡単に予想できた。 「潰れちまえよ、姉上」 「!」 その対処法を考えるよりも前に、目の前に倒れている妹が冷徹な言葉を投げかけてきた。 普段の彼女の暴走状態を一言で例えると『熱(ヒート)』。 しかし自分の血に中てられ、既に心身ともに満身創痍状態の彼女はとてもクールだった。 「レイチェル……自分の血に中てられ、おかしくなりましたか?」 大帝の拳がエヴァ目掛けて振り下ろされる。 展望台と言う場所に居る以上、この足場を破壊されたらその場でゲーム終了になるであろう事くらい目に見えている。 それならあの拳を受け止めるしかない。 そう判断すると彼女は剣を十字に構え、ガードの姿勢を取る。 その直後、 「――――っぐ!」 全身に未だ嘗て感じたことの無い凄まじい圧力が圧し掛かってきた。 その一撃を受けた瞬間、龍輝と龍詩の刃に亀裂が走る。 剣を持っていた腕から身体に目掛けて、何者も逆らうことの出来ない『力』が襲い掛かってくる。 「レイチェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエル!!」 この先、自分が『どうなるか』はエヴァには直ぐに理解できた。 だからその場に居る妹に伝えておく。 今更考え方や主張を変えるつもりは無い。 恐らく、今のレイチェルに自分の考えを理解しろといったら直ぐには無理だろう。 それが出来るくらいならこんな事にはなってない。 お仕置きなんてする必要も無かった。 それならせめて、蒼龍騎士団としての最大の役目を彼女には担って貰おう。 きっと自分とレイチェルがすれ違いつつも、『コレ』だけは同じ願いだと思うから。 ――――何時までもダダを捏ねないで、ちゃんと主の下に帰るんですよ? ○ 「う……ん?」 朝日が顔を覗かせつつある時刻。 夜風の肌寒さを感じたレイチェルは目を覚ました。 どうやら自分は気絶していたらしい。 (え? 何で寝てたんだ……?) それに、周囲を軽く見回してみるとあるのは瓦礫の山ばかり。 際ほどまで展望台に居たはずなのに、なんでこんなコンクリートの上で寝てるのだろう? (……いたっ!?) 取りあえず起き上がろうとしたら、背中にずきり、と痛みが走った。 どうやら思いっきり地面に叩きつけられたらしく、暫くマトモに走れそうにも無い。 それに足も何か刃物で刻まれたような痕が残っている。 其処から流れ出る血に『中てられそう』になりながらも、レイチェルは状況把握に努めていた。 「…………あ」 そこで思い出す。 ついさっきまでこの瓦礫の山となる前の展望台の上で何があったのかを。 自分が『姉上』に何をしたのかを。 「あね、うえ――――?」 しかしその後の事は覚えていない。 大帝の拳が展望台を砕いて、足場を無くした自分がそのまま大地に叩きつけられたのまでは理解できた。 でも姉上は? 大帝の拳を真正面から受け止めようとした姉上はどうなった? 「あ――――」 だが見た。 見つけてしまった。 「あ、ああああああああああああ……」 瀧上の双龍。 エヴァの引き当てた、彼女自身の武器。 しかし自分の真正面に転がっているソレには柄しかなくて、 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 その柄には手首とその先しかついていなかった。 他の肉体は何処にもない。 エヴァの形成するべき他の部分は、何処にもなかった。 全部、押し潰されてしまった。 「あ、ああ……あああああああああ」 レイチェルの頭の中が沸騰する。 目の前に転がる姉の『成れの果て』の姿を見て中てられつつありながらも、胸の奥からこみ上げて来るどうしようもない何かは留まることを知らずに流れ出てくる。 「あねうええええええええええええええええええええええ!!」 それ以上は言葉に出来なかった。 どうしてあんなことしたんだよ、と恨み言を叫ぶことは出来ない。 ごめんなさい、と謝ることもできない。 言うべき対象はもう何処にも居ない。 何を言おうにも、届かない。 ただ、虚無の中に取り残されてしまうだけ。 【エヴァ@T.C UnionRiver 死亡】 【展望台跡 レイチェル@T.C UnionRiver】 [状態]:全身打撲、足に切り傷、精神的に錯乱状態(大) [装備]:大帝@リレッド(だれかや!) [道具]:展望台が破壊された際失う(自分の道具を使って名簿等を確認するのは不可能) [思考・状況] 基本:本能を抑えつつ、ゲームには乗りたくない 1、半ば不可抗力でエヴァを失い、混乱 2、身体のダメージは深く、激しい運動は制限される 3、他の姉妹と合流したいが、合わせる顔が無い 4、殺戮衝動を抑えきる自信を失う (備考) 大帝は普段は消えていて、レイチェルが呼び出すと何処からとも無く出現する。 レイチェルの意識がなくなると大帝は消えるので、ずっとその場で出続けているわけではない。 殺戮衝動が起きていると彼女の本能と比例するようにして暴れまわるが、コントロールしている張本人であるレイチェルに危害が加えられることはほぼ無い。 Back 情報収集、そして合流へ Next 哀しみの向こうへと辿り着けるのなら